財産分与の相場は半分ずつではない?実際の流れ

今回は、財産分与の相場について解説していきます。WEB情報を見ていると、当たり前のように財産分与の相場が半分ずつだと書かれていますが、協議離婚では半分ずつではありません。

なぜ、半分ずつと言われているのかというと離婚裁判の実務がそうで、弁護士さんがそれを離婚現場の常識のように記事にしているからです。

 

日本の離婚は、協議離婚が8割以上です。弁護士さんが活躍する調停離婚や審判離婚、裁判離婚に発展するのは2割を斬ります。

そのため、実際に8割の協議離婚(話し合いでする離婚)が半分ずつになっていないにもかかわらず、WEB上ではそのように思われているところがあります。

 

では、実際に協議離婚で財産分与はどのように行われているのか。具体的に見ていくことで、半分ずつでないことがわかるでしょう。

財産分与の流れ

一般の方が離婚をすることを決め、財産分与の話合いをするとなかなかうまくいきません。それは、具体的に手順と決めることをWEB上でバラバラに見るからです。

そのため、どうしても漏れがあったり、忘れていたりするわけです。なので、財産分与をする時はこのページを見れば手順がわかるというものを記事にしています。

①財産目録を作成

財産分与を漏れなくするために、まずしなければならないのは財産目録の作成です。夫婦間で、どんな財産があるのか洗い出さなければなりません。

特に、エクセルにするとかWordで書いていくとかする必要はありません。メモ程度で構いませんので、箇条書きでどんな財産があるのか書きだしましょう。

 

一般的には、以下のものが多いので参考にしてみてください。

一般的な財産目録

①マイホーム
②自動車
③テレビ、冷蔵庫等の電化製品
④ソファー、テーブル等の家財
⑤ペット
⑥預貯金等

他にも趣味で、高級時計や絵画、金貨、靴を集めてる。株式や暗号資産を保有しているなど、家庭によって異なる資産をもっていることがあります。

なので、とにかく自分がもっている資産と相手が持っているものをどんどん想像できる範囲で書き出していきましょう。

②各財産の持ち主を決める

まず、もっている資産で不要だと思うものは、現金化を検討します。現金化すると分割しやすくなります。ただし、家電や家財は売却しても大きな金額になりません。

それなら、離婚しても必要になるものなので、継続してどちらかが利用する方が良いと思います。

 

売却して、現金にするものとそうでないものを別けることができたら、今度は財産目録(メモ)を見ながら、どちらが保有するか決めていきます。

不動産は、オーバーローンのことが多いので別枠にして、他のものを順番に決めていきます。夫は車を最初に選んで、妻がテレビ、冷蔵庫、洗濯機を選ぶ。

また、夫がパソコン、プリンターを選んで妻ソファーやタンスを選ぶみたいな形で、各財産の離婚後の持ち主を決めていきます。

 

話合いの離婚では、こういう決め方をするのでお金に換算して半分になることはほぼ100%ありません。なので、財産分与に相場というのは存在しないというのが正しい答えになります。

③マイホームの財産分与

最後に不動産の財産分与についてです。マイホームについては、かなり専門的な話になります。住宅ローンの名義は誰になっているのか。

ペアローンにしているのか。連帯保証人になっているのか。親が住宅を建てるときにお金を出していないかなど、大事なところがたくさんあります。

 

このブログでも何度も記事にしていますが、住宅ローンは金融機関との兼ね合いがありますので、夫婦間だけではどうすることもできないことも多いです。

住宅ローンの残りより不動産が高く売れるのであれば、金融機関も特段問題ありません。しかし、多くのケースではマイホームの売れる価格より、住宅ローンの残りの方が多いです。

 

そういうケースの時は、任意売却をするか。それとも養育費かわりに住宅ローンを支払っていくかの選択肢になると思います。そのあたりのことは、コチラの記事にくわしく書いています。

いずれにしても、住宅ローンが残っているマイホームを持っている場合は、専門家に相談したほうが良いでしょう。

離婚協議書をつくるのに、行政書士に相談しても良いし弁護士に相談しても良いです。離婚を専門としている先生であれば、道筋を提示してくれます。

 

売却をする場合には、専門の不動産業者も紹介してくれますので、自分で不動産業者を見つけるよりも安心できます。

ちなみに、マイホームの売れる価格より住宅ローンが多く残っているケースでは、その分の預貯金の財産分与から減らしましょう。

 

マイナスの財産も財産分与の対象にすることができますので、財産分与からマイナスしないと不公平になります。

④決まったことを書類にする

最後に、決まったことを書類にまとめます。これは、離婚協議書を作成する前段階では、財産目録をに妻、夫と書いていきます。

最終的に、養育費や面会など他に決めることがまとまったときに、離婚協議書としてまとめていきましょう。

 

公正証書にするにしても、しないにしても言った言わないの問題になってもいけないので、きっちりとお互いのために文書を残しておきましょう。

不動産があるケースでは、公正証書にしておくことをおススメしますが、最低限として離婚協議書を作成しておきましょう。

⑤財産分与の例

例①

●預貯金⇒夫名義は夫、妻名義は妻
●動産⇒車は夫、その他は妻
●不動産⇒賃貸

1つ目のケースとしては、夫婦共働きに多いケースです。夫名義の貯金、妻名義の貯金は半分にすることなくそれぞれの名義のものをそのままです。

動産については、夫は車を仕事に利用していたので保有し、妻が家財道具や電化製品を受け取る形になりました。

 

夫婦共働きで、正社員のケースはこういったパターンも稀ではありません。このあたりからも、財産分与の相場は半分とは言えないでしょう。

例②

●預貯金⇒預貯金500万円すべて妻
●動産⇒車、家電他にすべて夫
●不動産⇒夫名義マンションを夫

2つ目の例では、妻が預貯金すべてを受け取り、マンションは夫が住み続けることになりました。マンションの査定額(700万円)でした。

車や家財道具はすべて、夫になりました。妻は、実家に帰る予定だったので家財道具は必要ありませんでした。

 

そのかわり、として預貯金を全部受け取ることになりました。マンションについては、ローンを払い終わっていたので、売ろうと思えば売れますが夫が住み続けたいという案件でした。

例③

●預貯金⇒預貯金200万円は折半
●動産⇒車1台ずつ、他はすべて妻
●不動産⇒賃貸

3つ目のケースでは、預貯金を折半しています。これは、専業主婦に多いパターンです。預貯金を折半して、他はすべて妻が受け取ります。

最近は、専業主婦の人がかなり減っているので、少なくなってはいますが、例①に次いでよくある財産分与のけーすになります。

まとめ

ここまで財産分与の相場は、決して半分ずつでないことをお伝えしました。そして、財産分与を具体的に進めていく手順をお伝えしました。

最近は、共働き夫婦が多いので財産分与の例①が多いように感じます。いずれにしても、財産分与は実務の世界では半分ずつというのは、そう多くありません。

 

その家庭によって、財産も環境も異なりますので半分ずつにはならないことが多いです。WEB上の情報をみて半分にしなければならないと思って相談にこられる方が多くいます。

しかし、そんなことはありませんのでしっかりと夫婦間で話し合いをして決めてみてください。

 

財産分与は住宅ローンが残っているケースはとても専門的な話になりますが、それ以外は難しく考える必要はありません。

離婚裁判にならない限り、半分にこだわる理由もないのでしっかりと相手に希望を伝えていきましょう。

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